02/5(日)ヒラメの刺身、昆布締め、煮凝り、立田揚げ、アラ煮、卵かけご飯などを作っては食べ、作っては食べ

ヒラメという魚を二匹ばかり、都合5キロ程釣れた。釣ったのではなくて釣れたというところが情けないが、まあとにかくクーラーボックスはヒラメがいっぱい(一部サメ)。大変めでたい。このクーラーボックスを買って以来、前回もクーラーボックスいっぱいの魚(ゴマサバだが)が釣れているので、こいつは縁起のいいクーラーボックスなんだなと思う訳ですよ。きっとラッキーカラーはオレンジだ。そん訳で今年の夏はマゴチでクーラーボックスいっぱいだ。

盾。

家に帰り、とりあえず大きな方を一匹取り出して、流しにごろっと横たえてタワシでゴシゴシ洗ってみる。本当はヒラメとかの大きな魚は、絞めてから一日くらい経ってから食べた方がうまいんだろうけれど、今日は日曜なので今日食べちゃう。先週のうちに図書館から借りて「ヒラメの五枚おろし」のページに付箋をしてあった料理本を用意して、さあ、いっちょ五枚おろしにしてみようかとまな板に置いてみたが、ピンと死後硬直したヒラメの頭と尻尾がまな板からはみ出ている。まな板からはみ出る魚っていうのは、アカエイウナギタチウオ以外は釣れないもんだと思い込んでいたのだが長く生きてみるものだね。しかしちゃんと泳ぐ魚がいないな。きっと私がカナヅチだからだろう。

流しいっぱいのヒラメ。 まな板からはみ出る魚。

料理の本によると、ヒラメのウロコは包丁を立ててガリガリと削るのではなく、寝かした薄刃の包丁で削(そ)ぐようにするのだと、とても難しい事が書いてある。ヒラメや甘鯛などの身が柔らかくてウロコが固い魚のウロコは、この方法でとると身が崩れなくていいらしい。一人じゃ5キロのヒラメを食べきれないという理由でこの場にいた修行僧がいうには「ご家庭では金ダワシでゴシゴシやるといいらしい」らしいが、家に金ダワシというものがない。というか、包丁でやる方が絶対楽しそう。そんな訳で本に書いてある通り尻尾に目打ちを刺してヒラメを固定して、らしき人から借りた柳刃で、今まで全くやった事のない包丁の動きでジョリジョリとヒラメのウロコを削いでみる。ジョリジョリジョリ。ん、なんかイメージしていたよりも全然気持ちよくウロコが削げていく。なんだこりゃ、とても楽しいぞ。ジョリジョリジョリ。左右返してジョリジョリジョリ。裏側もジョリジョリジョリ。腹にもウロコってあるんだね。ジョリジョリジョリ。削っても色が変わらないから今イチ面白くないな。ジョリジョリジョリ。あ、ちょっと深ゾリしすぎて皮まで削れてしまった。まあいいか。ジョリジョリジョリ。おお、こんなに剃り残しが。朝剃ったはずなのに。みたいな。うーん、クリーミィー。みたいな。チャレンジジョイ。

ジョリジョリ。 ジョリジョリ。

思ったよりきれいにできるよ。 裏の方が難しい。皮まで剥けてしまった。

ウロコをジョリジョリと削いだ後に、出刃包丁でエイヤッと頭を落として、肝を大事に取り出して日本酒に漬けておく。肝は大事だ。胃の中からでてきた溶けかかったカタクチイワシらしき物体エックスはいつか撮るであろうSFX超大作映画のために冷凍庫の片隅でちょこっと保管しておこうかと思わなくもないけれど、冷凍庫が狭いので破棄。きっと10年後くらいに私が私財を投じてエイリアン12を撮ろうとした時に、「ああ、あの時冷凍庫が広かったらなあ」と思うのだろう。うんうん。 妄想と共に破棄だな。

尻尾を右に表を上にしたヒラメの中心線にそって背骨まで切れ込みを入れる。ついでに尻尾の付け根とヒレのところにも浅く包丁を入れておく。これは縁側を奇麗にとるためらしい。よくわからんが。後は本を見ながら真ん中の切れ込みに沿って身を剥がすように卸していく。躊躇いながら包丁を進めるとせっかくのヒラメがグチャグチャになっちゃうので、慎重かつ勢いよく爽やかに。と、わかってはいてもうまくはできないので、まあそれなりのスピードで。ああああああああ、うまくできない。ヒラメの骨格というものがよくわからんので、どこに包丁を入れたらいいのかよくわからん。ブツ切りにして煮付けてやろうか。きー。でも楽しいなと。もう二度とこのサイズのヒラメを捌く事はないだろうから、じっくり楽しむ事としよう。すごい高級なオモチャみたい。ああ、うまく組み立てられない。

ああ、アカデミー賞が。 真ん中と廻りに切り込みをいれよう。

結構分厚い。 のろのろと。

で、修行僧と交代しながら裏表をどうにか捌き終えたのがコレ。ところどころあるはずの骨や皮や縁側がないのはご愛嬌。これはいったい何人分の食材なのかね。

微妙に骨が欠けた。 微妙に皮と縁側が欠けた。

こんなに大量のヒラメは一人二人じゃ食べ終わらない。この後友人が何人かくるらしいが、それにしたって食べ終わらないだろうという事で、去年の夏にお世話になった山形在住の友人に、サク取りしたヒラメの皮を剥いて軽く塩をして、酒で湿らした昆布に包んでラップしたものを送りつける事にする。きっと向こうに届く頃には立派なヒラメの昆布締めになっているに違いない。よし、早速実行だとまずはクロネコさんに電話で集荷をお願いして、来るまでの間に準備を進めようとしたら、クロネコさんたら電話してからたったの五分で到着しちゃった。マダ準備デキテナイヨー。しかも用意していた発泡スチロールの容器に対して、「それだと冷気が入らないからダメ!穴をあけて!」とかダメだしされるし。仕方ないのでクロネコさんには玄関で待っていただき、昆布締めの作成は修行僧に押し付け、私は包丁で容器に穴を開けるなどの準備をしてどうにか発送完了。急ぎすぎて昆布締めの写真無し。ふう、なんか疲れた。さあ、あとはゆっくり食べるだけだと思ったら、クーラーボックスにもう一匹ヒラメがいた。あああ。

発泡スチロールで密封しちゃうと、冷気が入らないからダメなんだって。 ああ、もう一匹いたのね。

こいつは一回り小さいので、結構簡単に捌けたよ。 そして大量のアラが残った。

友人達がヒラメを食べにやってきたので、とりあえず「はい、今日の釣果」と餌のカタクチイワシの塩焼きを差し出す。さっきまで生きていた新鮮なイワシだよ。

ウロコはちゃんととろう。 まあおいしそう。

そんなコネタは置いておいて、大きい方のヒラメを削ぎ切りにしたお刺身と、塩、胡椒、オリーブオイル、レモン汁をかけたものを出してみる。やっぱり刺身をつくるのなら柳刃包丁って使いやすいね。

ヒラメっぽくない。 お皿はフランダースの犬。

まずは刺身をポン酢や山葵醤油で食べるんだけれど、これが美味しくないんだな。もちろんまずくはない。新鮮だから。でも、美味しくはない。私が味覚異常なのかもしれないけれど、甘みとか旨味がほとんどしないんだよね。やっぱりあれくらい大きいヒラメだと一日寝かせたほうが美味しいかな。五切れくらい立て続けに食べると、やっと味がわかってきて「あ、やっぱりおいしい!」となるのだが。カルパッチョのようなものは、タマネギなりケッパーなりなんなりが必要かな。味にアクセントがない。と、わざわざ人を呼んでおいて自分でダメだし。

だめだ、ヒラメじゃなくてお菓子を食べだす人が出てきた。もっとハッキリとした味じゃないといけないなということで、ヒラメの肝和えにチャレンジ。本当はマトウダイでやろうと思っていたんだけれどね。日本酒に漬けておいた魚のサイズの割に小さな肝を、アニサキスとかいると嫌なので沸騰したお湯で軽く茹でて、すぐに流水で冷やす。ヒラメの肝って美味しいのかなあとつまみ食いしてみたら、カワハギの肝よりちょっと苦みがあり、味わい深いビターな肝だ。うまいぜ。

軽く茹でてみた。アニーよ、さようなら。 趣味:つまみ食い。

軽く茹でたヒラメの肝を、みじん切りした生姜と一緒にまな板で叩いて、ヒラメの刺身にドカッと乗っけて醤油で和える。ちょっとつまんで食べてみたら、うまいかなと予想はしていたけれど、予想以上にうまい。肝の濃厚な味をまとったプリプリの刺身に、生姜の刺激が抜群に合う。ごはんごはん、ごはんが欲しい。「もし明日死ぬのなら、ぜひ捕まえて食べたいリスト」の不動の一位はカワハギなのだが、このヒラメっていうのもナカナカ。

まぜまぜ。 うはははは。

個人的にはヒラメの肝和えで満足したのだが、せっかくなので修行僧がもらってきた大量のアジの干物をやっぱり「今日の釣果」と言い張ってだす。ついでにヒラメ2匹分の中骨や皮を、酒、醤油、味醂、砂糖、昆布出汁で煮て、ちょっと冷めたら身をほぐし、ザルで漉した汁と一緒にタッパーに入れて煮凝りにしてみる。きっとこれを冷蔵庫に入れておけば冷えて固まるんだろうけれど、今日まだ人がいるうちに食べたいので、魔法の粉「粉寒天」を振りかける。これですぐに固まるはず。入れてから気がついたのだが、「沸騰した状態で入れて溶かしてください」って書いてあったが気にしない。

修行僧の釣果。釣ってないけれど。 身をほぐしていただく。

魔法の粉でドーピング。 ほら、固まった。粉寒天が溶けていなくてちょっと白いけれど。

口に入れるととろーんとして美味しい。

魚ばっかりだとお腹がいっぱいにならないので、ここで一発炭水化物。新鮮カタクチイワシをオリーブオイルで煮て、そこにトマト缶やらなんやらを入れた超ハイカロリーなスパゲティを大量に作って、中華鍋のまま出す。この料理は以前にボート釣りした時に釣れたイワシをどうしようかなと考えて開発した料理なんだけれど、作り方をすっかり忘れていたので、自分のサイトを見ながら料理方法を確認するという大変マヌケな今日この頃。記録って大事だね。そうか、ベーコンが入っていたのか。うんうん。

おお、懐かしい。 ヒラメより売れ行きがいいよ。

そんな訳で、一日目の晩餐終了。一匹目の大きい方のヒラメよりも、二匹目の小さいヒラメの方が、身のきめが細かく、味もしっかりしていて美味しかった。釣った当日に食べるのなら、あのくらいが食べ頃サイズなのかな。


さて、みんながお家に帰った後に、一人寂しく残り物でも食べようかな。残ったものは、ヒラメのエンガワ。漢字で書くと縁側、端っこの部分ね。もちろん残ったというか、残したのだが。ほら、量が少ないから、釣った人の特権という事で。量が少ない大きな理由は、捌いている時、皮にくっついてしまってうまくとれなかったからなんだけれどね。とりあえあず一切れは亀本さんに食べていただこう。あとサメも食べなされ。あ、本当に食べた。やるな亀本さん。

で、この必要以上に貴重なエンガワを、醤油に軽く漬け込んで、「ヒラメのエンガワ丼」という謎のメニューに仕立てる。釣りたてヒラメの甘くてコリコリとしたエンガワに、山葵をちょっとつけてご飯と一緒にかっ込むのだよ。ああ、おいしいさ。おいしいけれど、どうせならもうちょっと下世話に食べてやろうかなということで、半分食べたところで、生卵をポトリと落として(白身は少なめにして)、醤油を追加して「ヒラメのエンガワ玉子かけご飯」というさらに謎なメニューにしてしまう。店にいってこんなもんを頼もうとは思わないが、自分で釣ってきた魚なので好き勝手にするのだ。

ヒラメのエンガワ丼。 ヒラメのエンガワ玉子かけご飯。

醤油の染みたエンガワのコリコリに卵のトロトロ。エンガワの甘みに卵のコク。たぶん二度と食べる機会はないのだろうけれど、大変うまい。たぶん今まで食べた中で一番美味しい卵掛けご飯だなと。あ〜、書いていてよだれが出てきた。

つづく

買い物してして

こういうの好きかな