8/13(土)白犬と斑猫と鰻とおっさんと私

 

 

今日は今年の5月に地引き網が縁で出会って、それ以来一回も会っていないという縁があるんだかないんだかの人の誘いに乗って、富浦の某つりぼーとおきむらでマゴチにカンパチを釣り上げてウハウハの予定だったんだけれど、残念ながら前日の大雨大風の影響で中止になってしまったので昼過ぎまでフテ寝。やっと布団からほふく前進で這い出して外を見れば、見事に広がる青い空。なんだとこら。なんかお天道様にバカにされているようで悔しいので、マゴチの恨みをウナギに込める事にする。ちなみにウナギ釣りはマグロカブト焼きの時以来。すぐ近くの川でウナギは釣れるのでいつでもこれるのだが、エサにするミミズを売っている釣り道具屋が結構遠いから面倒くさくていってないんだよね。ミミズを掘るのはもっと面倒くさいしよう。近くに釣り道具屋できないかなあ。あ、自分で営業すればいいのか。ミミズ専門店。

晴れてーらー。

そんな訳で遠い遠い釣り道具屋まで自転車で汗だくになりながらいって、店員さんに「ウナギ釣りにはこのミミズです!」と有無をいわさずに渡されたミミズちゃん熊太郎を購入。そして近い近い某川へ鼻歌歌いながら余裕で到着。いつものところでいつものように、いつもの竿にいつもの仕掛けをつけてちゃぽんと投入し、本日のビックリドッキリメカ、さっき釣り道具屋でミミズと一緒に購入した「寄せ太郎」とかいうヒネリのないネーミングの寄せエサを取り出し、これでウナギをよせたろうと仕掛けを投げたポイントめがけて若干トルネード気味におりゃーっと投げる訳だ。熊太郎によせ太郎、W太郎で大物釣っ太郎。振りかぶって、第一餌、投げましたー、どうだー、ぽちゃん。あああ、仕掛けのあるのポイントまで半分も届かなかったよう。関係ないところに寄せエサ撒いて逆効果。しかも力一杯モノを投げるという行為を準備運動なしにおこなってしまったためにすっげえ肩が痛い。どうやら撒き餌スタイルは体質的に合わないらしい。じゃあしょうがない。

熊太郎。 寄せ太郎。

ウナギ釣りっていうやつは、仕掛けを投げてしまえば後は特にすることなし。竿先につけた鈴が鳴るまでぼけーっとヨガでもしているのんびりとした釣り。なのだが、鈴忘れちゃったよ。当たりわかんないよ。ずーっと竿先見てないとダメだよ。くそう、前にウナギ釣りに来たときにリールを全部忘れてきたときはさすがに釣りにならないので家まで取りに帰ったけれど、鈴くらいならなきゃないでどうにかなるから取りに帰るのも嫌だしな。まあ、きっとどうにかなるべさと放置プレイ。

見知らぬじいさん。 鈴がない。

さて、今日は前回の大ウナギ死亡事件の反省を踏まえ、乾電池式のエアーポンプをわざわざ持ってきた。こいつがあればもう川臭いウナギともオサラバさ。まだなにも釣れていないけれどとりあえずブクブクいわせておこう。でも通りすがりの人が必ずバケツの中を覗いていくのが恥ずかしいからやっぱりしまっておこうかな。ごめんよどうせ空っぽさ。

ブクブクブク。 さて、どれが私のバケツ?。

その辺をぶらぶらとしているうちに仕掛けを投げて30分くらい経ったので、とりあえず仕掛けをあげてみると、あらやだエサがなくなっているわん。くそう、鈴があったらアタリがわかって今頃は大ウナギを腕に巻き付けてネビラチェーンとかレッドスネークカモーンとかいって遊んでいたかもしれないと思うと悔しいぜ。


そんな感じで一人釣れないウナギと遊んでいると、私の釣り場のちょっと下流にある謎の小屋(通称釣り小屋)からおっちゃんが出てきて「何釣ってるの?」と聞いてきた。ハラハラ。犬の散歩やウォーキングをしている人達に聞かれた場合、正直に「ウナギ!」と答えるとイロイロ質問攻めにあって面倒くさいので「コイ!」と答えるようにしているが、きっとこのおっちゃんには嘘は通じないだろう。勇気を出して正直に「ウナギ!」と答えると、ニヤリと笑って「エサを大きくつけるんだ!そうすれば手首くらいの太いウナギが釣れるぞ!」と力説してくる。そ、そうですか。エサを大きくですか。こんくらい?あ、もっと?こう?え、もっと?あ、これでいいですか?納得いただけましたでしょうか。いつもは一匹しかつけないので何となくもったいないような気もするけれど、ここでオッさんに逆らったらこの川ではきっと生きていけないのでおとなしく従う私。しかし、なんでどこにいっても釣りのベテランさんは私を見るとすぐに教えようとするのかな。この場所で人にうなぎ釣りを教わるのはもう3回目くらいな気がする。きっと「釣りを最近始めた若造」に見えるんだろうな。でもいろいろな話が聞けて楽しいからいいんだけれどね。実はもうあんまり若くないけれどいつまでも若造な私。

謎の小屋。 おっさん接近!

いつものエサ付け。 オッさん仕様。ミミズ玉状態。

エサをモリモリと付け終わると、今度は川の一点を指差し、「あそこから10メートルがポイントだから!投げて!」と難しい事をおっしゃる。私の場合、「着水したところが本日のポイント」という考え方で生きてきたので、狙った場所に投げるのは正直苦手。でもほら、人生って転換期があるじゃない。きっと私にとっては今がその時。雷がゴロゴロと鳴るシチュエーションの中、稲光に合わせてオッさんの指差す場所へエイやっと投げる。ああ、やべ、ちょっとずれた。別の意味で雷が落ちるんじゃないかと恐る恐るオッさんの方を振り返ると、「よおし、ぴったり!」とご満悦。どうやらオッさんが指差している場所を私が少し勘違いしていたようだ。怪我の功名。そしておっさんは、「そのパイプ、竿立てだから!今日は夕立が降るぞ!そしたらそこの小屋で雨宿りしていいから!どうせ犬と猫しかいなから!」と言い残して去っていった。なんかかっこいいぜ。ところでこのおっさんがいう竿立ての横にはなぜかアスパラガスが生えていて大変うまそうだ。穫ってもいいのかしらねえ。

竿立て。 アスパラ。うまそうなのよ。

しばらくするとポツポツと雨が振り出したので、オッさんにいわれたとおり屋根のある小屋にて白くてでかい犬と遊びながら雨宿り。この犬はでかい図体をして雷が恐いらしく、空がゴロゴロいうたびに悲しそうな顔でウォーンウォーンと吠えながら僕を見る。近くにいって体を触っていると泣き止むのだが、ウナギ釣りの竿を見るために離れるとまたクーンクーンと鳴く。鳴くというか泣く。この妙に情けなくてかわいいひと時だけの同居犬に、たまたま持っていたペディグリーチャムを取り出して食べさせようと缶に入ったまま差し出すが顔を背けて食べようとしない。犬らしくない。しょうがないから少しの量を手のひらにとって差し出すと、「やっぱそうだろ」みたいな顔でモグモグと食べた。どうやらかなり甘やかされて育っているらしい。誰が育てているのかは知らないが。そんなやりとりを、いろんな血統が混ざりに混ざってブラックジャックみたいに柄がバラバラのかわいい猫が見ているのだが、こいつは私に対して「あんた誰?」みたいな冷たい対応でちっともかまってくれない。でも犬小屋前に放置していたペディグリーチャムをムシャムシャと食べていたので、きっと次はもう少し愛想よくしてくれるかな。

雷怖いよー。 ハアハア。

トップブリーダー推奨だ。 食わない。

食った。 睨まないでよ。

ウナギなんか釣れるのかい。 ニャー。

で、肝心のウナギ釣りはというと、アタリはあるような気がするのだが、鈴がないのでいかんせんよくわからん。オッさん流にドカドカとエサをつけていたので日暮れ頃にはエサが乏しくなってしまい、仕方なくまたミミズを一匹づつ付ける貧乏スタイルに戻した途端、鈴がなくてもわかるくらいに竿先がぶんぶんと揺れた。おうおうおうとリールを巻くと、たぶんオッさんだったら即リリースするサイズのかわいいウナギがぶら下がっていた。やはり小さいエサだと小さいウナギが釣れるのかな。人間の器の問題か。身分相応ってやつですね。ちょっと蒲焼きにするには小さいので、針をはずして川にお帰り願おうと思ったんだけれど、私がモタモタしている間にウナギがハリスに絡まって団子状態になってしまった。こうなるとハリスがヌメヌメ肌に食い込んでしまってもうとれない。いかんいかんとハサミでハリスをちょん切ってブクブク入りのバケツへ。うーん、ハリスが食い込んだ後が痛々しいな。仕方ない、食うか。


小さいなあ。 自転車にのっけて帰るのだ。


そんな訳で、今日も子供ウナギ一匹という貧果で釣り終了。でもまあ、いろいろ話のネタが収穫できたからいいかな。犬、またな。

で、そのウナギさんは一週間ほどクーラーボックスの中で養生いただいた後、若干愛着が湧いてしまったがハーブを効かせたワインビネガーの南蛮漬けになったとさ。

クーラーボックスで泥抜き。 まな板が臭くなるので、週刊ゴングの上で捌く。

臭みをとろうと熱湯をかけたら縮んだ。ただでさえ小さいのに。 一匹のウナギから4切れしかとれなかったよ。


めでたしめでたし。


買い物してして

こういうの好きかな