2003/12/07(日)よく晴れた日曜は避難訓練をしよう


12月、忘年会、芋焼酎、二日酔いの朝。朝といってももうすぐ正午。
以前19円で購入した「ほぐすサプリ」を飲みながら、締め切っていた南向きのカーテ ンをエイやっと全開にする。

いい天気だなあ。

こんなに晴れた休日、家にいたらもったいない。そうだ、せっかくだから友人を誘って、前からやってみたかった「避難訓練」をしよ う!

そういえば11/23は大地震の日。っていう噂が日本中を駆けめぐって早2ヶ月が経とうとしている。とりあえずボクの祈りが通じたようで、大きな地震はこなかった。いやあよかったよかった。せっかく使い捨てトイレ30パックとLED式懐中電灯とかいろいろ買ったのに。いや、いいんですが。

善は急げ。友人を「アウトドアしよう!」とだまして呼びつける。実は避難訓練なのはもちろん秘密。いえるわけがない。避難訓練といっても、「机の下に隠れる」「非常階段の位置を確認」などの小中学校レベルのサバイバル術は、木造二階建アパートの1Kでアーバンライフを送る私にはなんの役にも立たない。っていうかそれは楽しくない。やはり、やって楽しい避難訓練といえば、お天道様の下での「炊きだし」だ。

とりあえず材料を求めて、普通にアウトドアクッキングをするのだと信じている友人と近所のスーパーへ。炊きだしといえば、「すいとん」とか「豚汁」のイメージがあるのだが、いろいろと材料切ったり鍋持っていったりと面倒臭そうなので、アルミの使い捨て鍋に入った一人暮らし用「ちゃんこ鍋セット(味噌味)」を購入。豚汁といえば、前にホカ弁屋で、「豚カツ弁当」を「ブタカツ弁当ください。」と注文して聞き返されたことがあるな。まあいい。ちゃんこ鍋はセットに入っている具材だけだと寂しいので、追加オーダー用に鮭やエノキダケも追加。ついでに避難生活の寂しさを和らげるためにお酒も購入して一旦帰宅。天気がいいのでお布団を干す。これ大事。

冬なので鍋避難。 携帯コンロは避難生活に必須ですよ。 シャケ。

部屋の隅で埃をかぶっている、いろいろと詰めすぎてもはや動かすことすらままならない、持ち出せない「非常用持ち出しバッグ」の中から、携帯ガスコンロ、割り箸、お皿、ペットボトルの水などを取り出しリュックに詰める。

ドクターマーチンの安全靴の紐をきゅっと締めて、友人と二人で新小岩の指定避難先である近所の荒川河川敷へ二列横隊を守りチャリンコで進軍。バラバラと音がする頭上を見あげればヘリコプターが飛んでいる。救出活動か、救援物資か、はたまた惨劇を全国に中継するためのテレビ局かと一人勝手に気分が盛り上がる。ほら、よくあるじゃないですか。「尾行されている気分での帰宅」とか「盗聴されていることを勝手に前提とした電話」とか「おかあさんが宇宙人にすり替 わっているのではと疑いつつ親孝行」とか。そんな感じの一人プレイ。

野(公園)に放たれた(散歩)猛犬(ポメラニアン)をわざとらしく避けながらの強行軍の末、なんとか避難場所である荒川に到着。ここは夏に食材調達のためウナギを釣っていた場所なので避難先にはピッタリだ。もう少し温かい時期なら釣り竿持って避難したのに。惜しいな。

ここにはすでにリアル避難されている方がいらっしゃるようなので少し間を空けて陣地を確保。荒川は長年避難訓練をされている方がたくさんいるようだ。流されないといいですね。

家から運び出した貴重な物資をリュックから取り出し、炊き出しの準備を始める。
炊き出しの準備といっても、携帯コンロをセットして、鍋セットを上に置いて水をかけたらあとは待つだけ。七輪でサンマ焼くよりよっぽど楽チンだ。ポカポカした天気を堪能しながらキラキラと光るドス黒い水面を眺め、鍋が煮えるのを待つ。総武線はガタンゴトンと千葉へ行く。首都高からは救急車のサイレンが鳴り響く。なかなかシュールなインスタレーション空間だ。

避難日和。 向こ〜うにリアル避難民がおります。

鍋がグツグツいってきたので、煮えていそうな所から適当に箸でつまみ上げて食べる。所詮スーパーの鍋セットなので「抜群に美味しい」というようなものじゃないが、避難している身に温かいご飯は十分なご馳走だ。ありがたいねえ。

川縁の階段が風よけになって素敵。 乗せて煮るだけ。 煮えたかどうだか食べてみよう。 暖かいのはいいことだ。

鍋セットの具材はすぐ食べ終わってしまったので、明日の分は考えずに追加分を全部投入することを決意。おっと、鍋につられて鳩がやってきた。ホロッポウ。鳩といえばその昔、アグネスチャンが初来日したとき、浅草の浅草寺境内でたくさんの鳩をみて、「わあ、おいしそう!」と正直な感想をいって事務所の人に注意されたということがあったと「CWニコルの美味しい博物誌」というテレビ番組で本人がニワトリ潰しながら楽しそうにいっていたなあ。

よし俺も一人前の避難民を目指して鳩料理にチャレンジ。白菜の切れっ端を鳩の目の前に指しだし油断させる。今だ!と飛びかかったが、残念ながら鳩は大空へ羽ばたいて消えていった。残念。敗因は、捕まえようとした時に「うまく捕まえちゃったらどうしよう」という不安がよぎって捕まえる手の動作がワンテンポ遅れたことだろう。しかし、普通のアウトドアだと思ってついてきたのに、ボクがいきなり鳩を捕まえ、羽を毟りだしたら友人はどう思うだろう。

ホロッポウ。 鳩肉!ではない。

禁断の鳩料理、試してみたいようなみたくないような。
法律に触れているような、触れているような。
荒川にいるウナギがよくて荒川河川敷にいる鳩がだめっていうのも妙な話だが。
まあ今回はあくまで避難訓練なので、続きは実際に避難した場合ということで。
そんな日がこないことを願うんですがね。

ハトはあきらめ、冷凍庫から救出した鶏肉を放り込む。続けて白菜、ネギ、エノキも投入。そして秋田名物きりたんぽをベロン。煮えた物から無言で食べる。モフモフモフ。
また具がなくなったので、今度は鮭と味噌をいれて石狩鍋。モフモフモフ。
また具がなくなったので、今度は豚肉とキムチをいれて豚キムチ鍋。モフモフモフ。
そして最後は卵を落としたうどんで締める。ちゃんこ鍋→きりたんぽ鍋→石狩鍋→キムチ鍋→煮込みうどんと、妙にボリュームのある炊きだしを完食。げふう。

きりたんぽん。 えい。 石狩鍋。 キムチ。100円

豚肉どぼん。 豚キムチ鍋。 煮込みうどん。 大変おいしゅうございました。

避難訓練は平和な日常生活にやってこそ楽しい物なので、実際には被災しないことを切に願います。さあ帰って布団しまわなきゃ。

買い物してして

こういうの好きかな