2005/01/16(日)僕が料理をはじめたきっかけ


確か僕が小学校低学年の時だったと思う。男三人兄弟の真ん中の兄が、通っている小学校に捨てられていた子犬を拾ってきた。当時、犬を飼うということは、「どっかから拾ってくる」か「近所で生まれたので貰ってくる」もので、「ペットショップで買ってくる」というパターンは一般的ではなかった気がする。我が家が貧乏なだけかしら。

兄が拾ってきた子犬は、柴犬の血筋から混ざりに混ざった茶色い雑種。赤犬ってやつですか。それはそれはかわいいので、拾ってきた兄と一緒に両親へ交渉開始。ちなみに一番上の兄は動物嫌いなので子犬に興味なし。涙混じりの交渉の結果、拾ってきた兄が散歩をすること、私がエサを与えることを条件に無事交渉成立。めでたく父だか兄だかがアバウトに「ポチ」と名付けたその子犬は、その日から我が家のペットになった。ちなみにメスだ。メスでもポチだ。

今の時代、犬の餌っていうと、「トップブリーダー推奨」とか、「角切りビーフにビタミンを配当」とかの能書きがついたドッグフードが一般的だけれど、犬を買う習慣がない我が家にはドッグフードを与えて育てるという習慣も当然ない。なのでエサ係の僕は、朝、晩の食事が終わると、みそ汁とか煮物の汁を水で薄めたものにご飯を入れて、そこに魚の骨や大根の葉っぱとかを適当にぶち込んで煮込んだヘルシーなエサをつくる。熱いままポチにあげると哀しそうな顔をされるので、適当に冷めたところでエサ皿に入れてあげると、ポチはガツガツとしっぽを振りながらそれはそれは美味しそうに食べてくれた。そして食べ終わったらお腹をなでてあげるのが日課だった。

美味しそうに食べてくれるペットに餌をあげるというのは、それはそれは楽しいことなので、煮干しを入れてみたり、鰹節を入れてみたり、牛乳を入れてみたりと、毎日いろいろな日替わりメニューをポチに与えていた。おでんにお好み焼きを入れたり、鍋の残り汁にパンの耳を入れたりと、どんなヘンテコなエサを出しても、ポチはとっても美味しそうに食べてくれる。さすが雑種、オオカミの末裔とは思えない雑食ぶりだ。いや、与える方が悪いんですがね。

最初のうちは、犬のエサなので味見はしなかったんだけれど、ポチがそれはそれは美味しそうに食べるので、ポチにあげる前に自分で味見をするようになった。僕にも食わせろと。犬のエサといっても、基本的には「おじや」と変わらないものなので、なかなかそれは美味しかったりする。

それがきっかけで、両親が共働きだったこともあり、犬のエサだけじゃなくて自分のエサもつくるようになった。自分用につくって失敗したら犬のエサ。ポチは6歳くらいでジステンパーになって死んじゃったけれど、その後も僕は料理をたまに作り続けており、今日に至るという訳です。なので僕がつくる料理の基本は、すべて犬のエサだったりする。今でもたまに誰かに食べさせるために料理をする時は、夢中になってエサを食べるポチの顔を思い出しながら料理をつくっていたりする訳だ。

ということなので、このページを読んでいるあなた、僕の料理を食べる機会があったら尻尾を振って美味しそうに食べてくれたまえ。そしたらお腹をなでてあげるから。


ちなみに今、実家では「かつお節と交換してきたネコ」がいる。こいつはキャットフードとスズメ以外食べない偏食猫だ。

買い物してして

こういうの好きかな