満員電車に想う


ガタンゴトンガタンゴトン。

くそう、久しぶりに乗る満員電車っていうのはなかなか凄いな。さすが花の都大東京と極真空手の人が歌っていただけあるぜ。それにしてもみんなよくこんな電車に毎日乗って通勤通学してるな。この現代社会の奴隷気味人間達め。悔しかったらオレみたいに自由に愛された自由人になってみやがれってんだ。まあ職安通いだけどな。しっかし電車に乗っている時間っていうのはもったいないな。ただ目的地に着くまで揺られているだけじゃ脳がないぞ。もし俺が新婚サラリーマンでちょっと田舎(柏とか東武動物公園あたり)の新興住宅地に4LDK駐車場付きジジババ付きのマイホームをローンで買って通勤時間に一日片2時間、往復4時間かかっているかと思うとぞっとして体中の毛穴が隆起したぜ。関西弁でいったら「サブイボ立つがな」ってやつだな。会社に月20日出勤するとして、一日4時間×20日で80時間だ。おお、月に80時間も無駄にしなければならないのかよ。その80時間を高校生並みに時給680円のコンビニでバイトしたと仮定しても80×680=は、ええと、発破四六時中の永六輔は48手で、54,400円の損害だ。くそう、想像しただけでも悔しいな。その金もって西川口にいったら王様扱いだぞ。しかたない、せめてこの80時間を有効活用する方法を考えてみよう。まず、一番一般的なのは本を読むことだな。最近は漫画も文庫本になっているしなかなか快適な通勤時間になるのかもしれないぞ。でもあれだな、下手に面白い本とか読んで笑い出したりしたら気持ち悪いし、官能小説なんて読んで下半身が収拾つかなくなって痴漢と間違えられても困るしな。っていうことは電車の中では笑うところも濡れ場もない本しか読むなっていうことか。くそう、世の中がんじがらめだぜ。こんな過酷な環境の中、みんなはどんな本を読んでいるんだろう。お、ちょうど隣のメガネをかけたサラリーマンがなにか読んでいるな。ほほう、少年ジャンプか、俺も学生の頃はよく読んでいたな。最近は大人も読むのか。まあオレも未だにボンボン読んでるけど。お、アラレちゃんか、懐かしいじゃないかうんこ食べながらキーンって走るんだよなっていつのジャンプ読んでいるんだコイツ。くそう、通勤中の読書はだめだ。なに読んでいいのかわっかんねえ。そうだ、ウォークマンを聴こう。これだったら通勤時間に音楽鑑賞ができるから時間を無駄にしなくてすむぞ。お、こっちの大学生風のにいちゃん、ヘッドフォンでなにか聴いているな。お、ふんふん。なんとなく聞いたことがあるな、よし、ここはドレミファドンにちなんで「音漏れドン」だ。絶対、当ててやるぞ。ふんふんふんふん、あ、あの曲だ、TMNの、あ〜曲名が出てこない。なんだっけな〜アニメの主題歌だったやつだよ。あ〜答えを教えて欲しいけれど答えは永遠に発表されない〜。答えの発表がないクイズなんてクイズじゃねえよ〜高島忠夫。くそう、音楽鑑賞はダメだな。音漏れは周りの人を必要以上にイライラさせる。あ、そうだ、音楽をウォークマンで聞こうとするからダメなんだ。そうじゃなくて電車の車両全体に音楽が流れるようにJRなり東武鉄道なりがすればいいんだ。そうするとあれだな。やっぱり車両ごとに流す音楽のジャンルを変えないとダメだな。1両目はロック車両で2両目がポップス車両とか。3両目がいわゆるビジュアル系車両で、その車両でラルクの曲をかけて「俺達はビジュアル系じゃない!」って怒られたりするんだ。ポップジャムみたいに。しかし、そうすると車両ごとに乗客の客層も違うんだろうな。ハードロック車両とかはみんな頭振って電車の揺れ以上に揺れちゃって、間違えてその車両に乗っちゃったシルバーシートのおばあちゃんが心臓麻痺起こして社会問題になったり、車内放送で「皆様、走行中のエックスジャンプは大変危険ですのでおやめください」とか注意されたりして。ああ、想像しただけでも楽しげな通勤だな。東武亀戸線とかだと演歌車両とか懐メロ車両とか軍歌車両ばっかりで。日曜日だけアニメソング車両があったりしてもいいな。東武伊勢崎線春日部あたりはクレヨンしんちゃんでキマリ。「プルルルプルルル」ん、誰だ誰だ、携帯電話ならしているのは。人が気持ちよく未来の通勤電車、ミュージック電車を妄想して楽しんでいるのに、ったく。電車の中では携帯の電源を切るなりバイブにするなりしろって。「プルルルプルルル」誰だよ、もう早く出ろよ、電話にでないと誰がこの込み合った車両という名の密室でみんなのストレスを貯めるようなマナー違反をしている悪者なのかわかんねえじゃねえか。「プルルルプル・・・」あー、切れちゃったよ。結局誰かわからずじまいか。あーイライラするなー。「ガタン」おっと、麝香が香るロングヘアーのOLさんに足を踏まれちゃったよ。おっと、謝る必要はないぜお嬢さん。俺は今日、こんなことがあろうかとワークマンで買った安全靴を履いてきたからな。痛くも痒くもないぜ。ふふふ、今のでこのOLは俺に惚れたな。ふ、俺っていう奴は罪な男だぜ。しかしピンヒールに踏まれるっていうのも悪くないな。「ガタン」あ、すいません。大丈夫ですか、はい、気を付けます。すみません。くそう。今度は俺が人の足を踏んじまった。俺は安全靴を履いているから踏まれても痛くないから笑って許せるが、俺が踏むと踏まれた方は普通の靴で痛いから俺は怒られる。ちぇ、世の中はいつでも俺に対して不利にできているぜ。おっと、こんなことをしている間にまた目的地を通り過ぎちまった。これで山手線3周目突入か。いつになったらアキハバラのメイドカフェにたどり着けるんだ。しかしあれだな、俺は目的地までの150円の切符で山手線3周もしているんだから、もしかして凄い得してるんじゃないか。もう何時間も電車に乗っている訳だから。これだけ乗って150円だし、それでいてちゃんと目的地までいける。これが東北本線だったらこうはいかないぜ。やるじゃん山手線。ええい、気に入った、今日はとことん山手線につき合ってやる。あっはっはっは。

買い物してして

こういうの好きかな