2004/5/6(木)飯田橋 たい料理(タイ料理) 某店のグリーンカレー

 


たい料理。いや、タイ料理だとは思うんですがね、看板に「たい料理」って書いてあ るんですよ。


その日もひねりの利いたランチを探して、飯田橋駅の東口南側をウロウロとうろついていたんです。そうして路地で出会ったのが「たい料理 某店
」というおどろおどろしい文字で書かれた店。女子高生風にヘタ文字で書けば、「ナニレ|米斗王里」。うん。読みづらい。

たいの文字が平仮名なのに一抹の不安を覚えなくもなくないけれど、同行者の「タイ料理たべタイ」という腰砕け発言によって入店決定。ちなみに、ここへ来る前にステーキ屋を通りがかった時は「ステーキ素敵ですね」とつぶやいていたがどうなんだろう。僧侶として。

地下へ続く階段を下りて某店へ。店内は以前行った中華料理とタイ料理のハーフアンドハーフの店よりはだいぶタイっぽい感じ。タイいったことないけど。あ、タイ料理も初めてだな。はじめてのタイ料理がたい料理。イヤな出会いだ。ごめんよタイランド。

2人なのに4人掛けのテーブル席に陣取り、メニューを一読。はじめての店に入って、メニューを開く瞬間が好きなんだよな。どれどれ、タイチャーハンにグリーンカレーにタイラーメン。タイがつかないと単なるラーメン屋だな。で、最後が赤文字で強調した上での豚の血入りラーメン・・・。ええと、これはスープが血みどろなのか、あるいは麺が血入りなのか、というか根本的に食用なのか、儀式用なのか。タイではポピュラーな料理なのかな。ベトナムにはなかったぞ。


どうしよう。これがテレビカメラが回っている時のお笑い若手芸人なら悩んだフリして豚の血入りラーメンを大盛りで頼むのだろうが、どう考えても口にあわなそうなので、仕方なく同行者に強く勧める。しかし今日は体調が悪いと給食で嫌いなモノが出た小学生みたいな言い訳をされる。「なかなか食べられる機会ないんだから」と元を取ろうとする母の如く、強く強く進めるが、「じゃあ自分で食べればいいじゃないですか」と実にもっともな反論をされてしまったので、二人揃ってグリーンカレーを注文。豚の血入りラーメンは別な人を誘って食べさせよう。

キョロキョロと店内を見回すが、豚の血をすすっている剛の者はおらず、みんな普通のタイラーメンやチャーハンを食べている。やっぱり敷居が高いらしい。料理を待つ間厨房を見ると、東南アジアな臭いの向こうでタイ人っぽい人が額に汗して働いている。ネパール人っぽい人がつくるネパールカレーの店は大変おいしいので、ここも美味しいのだろうと期待感アップしたところでグリーンカレー登場。

グリーンカレーセット。どうだ。

お盆の上にはグリーンカレーとライス(当然タイ米)、ビーフンのサラダにスープとデザートらしきもの。こういうカレーを食べたことがないのでどうやって食べたらいいのかわからないが、カレーなのでとりあえずルーをご飯にかけてスプーンで食べて みる。

ああ、一口で体の細胞隅々まで行き渡るココナッツミルクと大量の油達。あっさりしているもんだと信じて食べたら凄いこってりしている。良く言えばコクがある味。悪く言えば酷な味。本場のタイ料理を食べたことがないのでなんともいえないけれど、たぶんこれこそが本場の味付けなんだろう。そして暑い現地の食堂で扇風機の風を浴びながらタイガービール飲みつつ食べればとても美味しいのだろう。とりあえず五月のさわやかな日本で食べて、うまいまずいを語るような次元の味ではない。でも全部食べる。

気を取り直してサラダをパクリ。ん、イヤな歯ごたえと微妙な味付け。なんか体から危険信号が出てきた。信号が真っ赤だ。オールレッド。この危険信号は以前に某ラーメン屋で餃子を食べた時にでた信号と同じだな。その時は食中毒で2日寝込んだのだが、今回はたぶん食文化の違いのために出た危険信号だろう。サラダなのに脂っこいぜ。でも全部食べる。

アブラギッシュな料理を食べた後は、さっぱりとしたデザート食べて口なおし。はて、これはなにでできているデザートなんだろう。甘いココナッツミルクに入ったツブツブ。このツブツブはなんだ。タピオカにしては緑だし。八重山漁協海ぶどう生産部会が養殖に成功したという「海ぶどう」にしては粒が小さいし房になっていない。あ、わかった、カエルの卵だ。そうだそうだ。そうに違いない。タイだし(偏見)。そうとわかればオタマジャクシになる前に食べなくては。カエルの卵だと思うとどうも生臭いけどそれってタイ風。ああココナッツが甘くて全然サッパリしていない。でも全部食べる。

で、実際なんなのさ。

ふと「飯田橋 食の旅」の同行者を見ると、僧侶のクセに半分も食べないうちにギブアップしているじゃないですか。そうか、別に命の恩人のタイ人に進められている手料理ってワケではないので「残す」っていう選択肢もあったのか。それは賢いな。無理して全部食べちゃったじゃないか。でも残したらタイの食文化に負けたことになるしな。ああ、胃が石油と石鹸水を1ガロンづつ飲んだ後みたいにムカムカする。飲んだことないけどよう。ごちそうさまでした。

お金を払って店を出て、地上の空気を胸一杯に吸い込んで深呼吸。ああ、日本の空気って美味しい。この前の旅行でベトナムにいこうかタイにいこうかちょっと迷ったけれどベトナムにしてよかったなと心から思う。まあこの店の料理だけで判断するのは木を見て森を見ずなので微妙だけれど。おっと同行者をふと見れば、さすが普段精進料理ばっかり食べている僧侶、体が受け付けないタイ料理を食べた後だけあって、なんかマーライオンみたいなことになっている。ウエー。さすが仏教徒。サラダにあたったとの本人談だがやっぱりサラダか。でも同行者がマーライオンになったのはタイ料理が悪いわけでも、某店が悪いわけでもなく、同行者の軟弱な胃腸と許容範囲の狭い舌が悪いのさと勝ち誇ってみる。

とはいっても、どう考えてもあの味はおかしい。どうもゴールデンウィーク明けにいったのが悪かったんじゃなかなと疑ってみる。ちょっと休み中、料理を寝かし過ぎちゃったんだな。普段なら野菜はパリっとしていて、カレーもサッパリしているに違いないと信じているが、いまだ二度目の来店は果たしていない。豚の血入りラーメンのこともあるし、かならずやもう一度いかねばならぬのだが、果たせぬ夢になりそうだ。

買い物してして

こういうの好きかな