2004/9/25(土)カワハギの肝を寿司で食べる

 


お誕生日おめでとう。私。

ということで、某所にある前から店構えだけで気になっていた、廻っていないお寿司屋さんにいってみる。店頭のお品書きに握り一人前2,000円からと書いてあるから、お金が足りなくて皿洗いするようなことにはならないと信じて同行者一名と入店。ジーパンでも入れるかしら。ドキドキ。

椅子席に座り、店員さんに注文を聞かれるが、この店、飲み物のメニューという物が見あたらない。まああってもなくても瓶ビール頼むんだけれど。しかし、ビールの値段すらわからないっていうのはナカナカスリリングだなと。とりあえず2,000円の握り二人前と瓶ビールを注文。あ、あと茶碗蒸しひとつ。

注文をすませ、やっと一息つけるという感じ。おしぼりをもてあそびながら店内を見渡す。メニューらしき物はカウンターにかかった、剣道部の部員一覧みたいなネタが書かれた板のみ。当然値段は書いていない。ふう。

突き出しのアジのナメロウをつまみつつビールを飲みながら待つこと10分、店員のお姉ちゃんが両手に棒きれみたいなものを持って登場。「すみません、ちょっと料理が遅れてまして、コレ食べて待っていてください」と長い棒きれを手渡しされる。なんだなんだと受け取ると、ゴボウの漬け物だった。ぼりぼり。なかなか笑わせてくれるなと。

ナメロウ。なんか甘かった。 手渡しされたゴボウの漬け物。長い。

ゴボウかじりながら待つことさらに10分、茶碗蒸し登場。なんか器が強そうだ。味は私は食べていないので知りません。同行者曰く「濃い」だそうだ。

かわいいね。

お茶をすすりながら待つことさらに10分、さらに頼んでいないけど漬け物登場。今度はナスのわさび漬けかな。初めて食べるけれどなかなかうまい。カラシ漬けじゃなくてわさび漬けなのは寿司屋だからか。腹減りすぎてちょっと不機嫌になりだす。プンスカ。

ナス。待たされすぎだが漬け物がうまいのが救い。

ナス食いながら待つことさらに10分、腹減りすぎて涙目になった頃にやっとお寿司登場。ネタはイカにコハダにアジに卵。まずはアジから。うわ、うまい。小さめに握られたシャリに対してアジの厚みがすごいな。よくシャリの味ばかりでネタの味がわからないような寿司を食べるけれど、ここは完全にネタが主役。でも絶対お刺身より美味しい。素敵。なんかネタの断面がスパっとしていて、まさにプロのお仕事という感じ。でも待たせすぎ。コハダもテレビや本でしか見たことのないようなネタになっているよう。台湾の回転寿司とは大違いだ。当たり前か。

アジがうまかった。

余韻に浸りながら待つことさらに5分、また漬け物登場。また待つのね。

青菜巻いたヤツかな。

漬け物食べながらお茶を飲んで待つことさらに5分、浅蜊のみそ汁登場。大ぶりの浅蜊が美味しいなと。

写ってないけれど、身が大ぶりで美味しいよ。

みそ汁すすりながら待つことさらに5分、水物ばかりで胃がタポタポしてきた頃に、お寿司パート2登場。今度は甘エビとカワハギ(肝付!)登場。素敵。シャリとネタの間に紫蘇を挟んだカワハギの握りは、私が釣って料理したカワハギよりも明らかに旨く、ああ、カワハギってこんなに旨いのねとなんとなく負け戦。これは千葉県の竹岡産だなと適当なことを思いつつ美味しくいただく。

カワハギうまーい。

ぽわーんとしながら待つことさらに5分、また漬け物登場。

漬け物は美味しいなあと待つことさらに5分、お寿司パート3登場。今度はマグロにイカゲソにタコにイクラ。タコはどうやったらこんなに柔らかく煮られるんだというくらい柔らかい。イクラは明らかに生筋子から作った手作りイクラ。「イクラは手作りする派」としてやっぱり手作りだよねと一人頷く。当然私がつくったやつよりプリプリして美味しい。ゲソは個人的にちょっと生臭さと甘いタレが合わないかなと負け惜しみ。

やはりイクラは手作りに限るね。

また浅蜊のみそ汁がでてきて、もう終わりかなと思ったところに、頼んでないけれど真打ち登場。鉄火巻き、確かミスター味っ子で見た覚えがある(美味しんぼだったかな)芽ネギの握り、そして待たせてしまったお詫びということで登場したのは、芽ネギが波動砲のように突き出た物体Xの軍艦巻き。物体Xの正体はいわれなくてもわかるさ、もちろんカワハギの肝だね。いいのかこんな贅沢。正直、違うテーブルの注文が間違ってきたんだと思ったよ。

せっかく出てきたんだから握りたてを食べないと料理人に失礼。醤油をちょっと垂らして口に放り込むと、ふわーんとした肝が口の中でほわわわんととろける。その瞬間、自分の頬が無意識に緩みまくる。なるほど、ほっぺが落ちる味とはこういうことか。カワハギの肝は生臭さ一切なし。さっきまで料理が来なくて不機嫌だった自分はもうおらず、ただ口元を緩ませてニヤニヤするばかり。

あ、肝だ。 肝だ肝だ。

さっきカワハギの握りを食べて、カワハギってこんなに美味しいんだと感動したばかりなのに、この肝だけのお寿司はその感動を更に上回るおいしさ。この大きさの肝を肝だけで食べろといわれるとだとさすがにクドイと思うが、芽ネギを添えて軍艦巻きにされると、もう脱帽。記憶している限りだと、冗談抜きで人生で一番美味しい食べ物だわ。いや、記憶力がないからっていうのもあるけれど、本当おいしい。

ああ、まだ口の中に余韻が。お茶を飲んで口をさっぱりさせるのがもったいない感じ。よくアイドルと握手したファンが、もう手を洗いませんといっているが、今ならその気持ちがよくわかる。私ももう歯を磨きませんって宣言したいくらい。しないけれど。

最後に追加で鰹を頼んで、ちょっと物足りないところで終了。あ、鰹もうまいや。店にいた時間が1時間半で、食事していた時間が15分。なかなか待たされたけれど、新しい快楽の扉をガンガンガンとノックされるような体験だった。空腹は最高の調味料ってやつですか。

戻り鰹。


で、会計をしてみてびっくり。「待たせてしまった」という理由で6,000円ぽっきり。二人で6,000円。なんだよ6,000円って。いくらなんでも安すぎないか。まあいいや、海の神様からの誕生祝いということでありがたく受け取っておこう。とりあえず、今度富浦にカワハギ釣りいかなきゃ。

今度は勝負の時に来店します!


※今回は店名秘密。これ以上混まれても困るので。

買い物してして

こういうの好きかな